残留塩素計の種類と選び方:DPD法の正しい使い方から機器選定まで

基礎知識

残留塩素の管理をしていると「どの測定器を選べばいいか」「DPD法を正しく使えているか自信がない」「薬注ポンプを調整したら逆に数値がブレるようになった」など、機器の選定や操作にまつわる悩みが出てきます。この記事では、残留塩素計の種類と特徴から、現場で役立つ測定のコツ、機器選びの注意点まで実務目線でお伝えします。

残留塩素計にはどんな種類があるのか

一口に「残留塩素計」といっても、その種類は非常に幅広く、用途や予算によって選ぶものが変わります。大きく分けると以下のような種類があります。

手動式(比色法・DPD法)
最も普及している簡易測定器です。試薬を使って発色した色と比色板を見比べて濃度を読み取ります。価格が安く手軽に使えるため、日常的な管理に広く使われています。

携帯型デジタル残留塩素計
DPD法と同じ原理で試薬を使いますが、目視比色ではなく数値でデジタル表示されます。読み間違いが減り、記録にも残しやすいメリットがあります。

連続自動測定式残留塩素計
配管に設置して水を常時流しながら自動で残留塩素を測定し続ける装置です。24時間リアルタイム監視ができ、薬注ポンプと連動させて自動制御することも可能です。病院・工場・大規模施設では特に有効です。

価格帯の幅も大きい
手動の比色式は数千円〜数万円で購入できますが、連続自動測定式になると数十万円〜の世界です。用途と予算に合った選択が重要です。

DPD法の正しい使い方と注意点

DPD法は最も広く使われている残留塩素の測定方法ですが、正しい手順を守らないと誤った値が出てしまいます。

試薬を入れたら5秒後・1分以内に測定する

DPD試薬を検水に加えると残留塩素の量に応じて淡赤紫色に発色しますが、時間が経つにつれて色が濃くなっていきます。これは溶存酸素などの影響でDPD試薬が徐々に反応するためです。

取扱説明書には「試薬添加から約5秒後に測定」と明記されており、遊離残留塩素の測定は1分以内に終えることが原則です。時間が経ってから比色すると実際より高い値が出てしまい、正確な管理ができなくなります。「ちょっと待ってから見よう」が一番やってはいけないことです。

器具は毎回しっかりすすぐ

試験管や比色セルに前回の試薬が残っていると測定値に影響が出ます。使用後は必ず水でしっかりすすいでください。DPD試薬の赤紫色が試験管に染みついてしまうと落ちにくくなるため、使い終わったらすぐに洗うのが鉄則です。

現場の豆知識:試験管の汚れはサンポールで解決

DPDで手分析を繰り返していると、試験管や比色セルにDPD試薬の赤紫色の汚れが付いてきて、正確な比色ができなくなることがよくあります。そんなときはサンポールを数滴入れて5分ほど放置するだけできれいに汚れが落ちます。洗剤で何度こすっても落ちなかった汚れがあっさり取れるので、ぜひ試してみてください。

薬注ポンプの調整は慎重に

残留塩素の値を見て「低いから注入量を増やそう」「高いから減らそう」という調整をする方は多いですが、ここで焦って調整するのが一番危険です。

井戸水の場合、注入した次亜塩素酸ナトリウムが水槽を経由したり、ろ過装置を通ったりしながら末端の蛇口まで届くまでに半日程度かかることはざらにあります。今の測定値は半日前の注入量の結果です。それを見て今すぐ調整すると、半日後に今度は過剰になったり不足したりと、数値がブレ続けることになります。

調整したら最低でも半日〜1日様子を見てから次の判断をするのが正しいやり方です。特に施設立ち上げ直後や季節の変わり目は要注意です。

高額な残留塩素計ほど信頼できるのか

現場でよく聞かれる質問が「高い残留塩素計の方が精度がいいのか」というものです。

HACHは高額だが狂わない

水処理の現場でプロに信頼されているのがHACH(ハック)のシリーズです。価格は高めですが、測定精度が安定していて長期間使っても狂いにくいという評判があります。精度の信頼性を重視する施設では選ばれることが多いです。

30万円前後の残留塩素計は水質次第で狂うことがある

一方、30万円前後のいわゆる中価格帯の連続自動測定式残留塩素計は、水質との相性が悪いと狂いやすいというのが現場の実感です。連続自動測定式は基本的に無試薬で水を流し続けて測定するため、水質の影響を直接受けます。高価な機器を導入したのに値が安定しないというトラブルは実際によく起きています。導入前に水質との相性を確認することが重要です。

色がつかないときの意外な落とし穴

DPD法で測定したとき、「残留塩素を入れているはずなのに全く色がつかない」という経験をされた方もいるかもしれません。

薬注ポンプや注入点に問題がない場合、もう一つの原因として水中に含まれる特定の化学物質の影響が考えられます。工場や研究施設などで稀に起きることですが、水中にヒドラジンなどの還元性物質が混入していると、残留塩素が瞬時に消費されて発色しなくなることがあります。ヒドラジンはボイラーの防食剤として使われることがある薬品で、強い還元作用を持ちます。

「塩素を入れているのに色がつかない」という場合、注入・薬品劣化・注入点詰まりを全てチェックしても改善しない場合は、水中に残留塩素を消費する物質が混入していないかを疑うことも重要です。

まとめ

  • 残留塩素計には手動比色式から連続自動測定式まで幅広い種類がある
  • DPD法は試薬添加から約5秒後・1分以内に測定するのが鉄則。時間が経つと色が濃く出て誤った値になる
  • 試験管の赤紫汚れはサンポールを数滴入れて5分放置するときれいに落ちる
  • 薬注ポンプの調整は慎重に。効果が出るまで半日程度かかることがある
  • HACHは高額だが精度が安定していて狂いにくい
  • 30万円前後の連続自動測定式は水質との相性次第で狂うケースがある
  • 色がつかないときはヒドラジンなどの還元性物質の混入も疑う

機器選びや測定方法で迷ったときはお気軽にご相談ください。


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