「受水槽の水位計、リプレイスしたいんだけど何にしたらいい?」――現場でよく相談される質問です。電極棒は腐食する、超音波は条件次第で誤検出、圧力式は配管接続が必要…と、それぞれクセがあります。この記事では主要な5方式(電極棒・超音波・圧力・レーダー・ガイドパルス)を整理し、最終的に現場でおすすめできるのはどれかを解説します。
受水槽の水位計、主な5方式
水位計は大きく接触式と非接触式に分けられます。受水槽でよく使われる方式を整理すると次のとおりです。
接点出力(オン・オフ)と連続出力で何が違うかというと、設定できる検出ポイントの自由度が大きく違います。電極棒は本数で接点数が決まる(4極式なら4点)のに対し、連続出力タイプは任意の高さをいくつでも閾値として設定可能です。これが運用に大きく効いてきます。
電極棒(電極式)
仕組み
長さの違う複数の金属棒を水槽に垂らし、棒の先端が水に浸かったときに電気が通ることで水位を検知します。一般的には4極式(アース・減水・復帰・満水)が広く使われています。
メリット
- 構造がシンプルで安価
- 仕組みがわかりやすく、保守要員でも理解しやすい
- 受水槽の標準装備として古くから普及
デメリット
- 棒の本数で接点数が決まる(追加・変更には棒の交換が必要)
- 電極棒の腐食・劣化が避けられない(経年で誤検出が増える)
- 雨水侵入や電極座カバーの紛失で異常検知ができなくなる事例あり
- アナログな接点出力のため、細かい運用変更に弱い
定期点検と交換が前提の方式、と割り切って使うのが現実的です。
圧力式(投げ込み式・感圧式)
仕組み
センサーを水槽の底に沈め、水深に応じた水圧を検出して水位に換算します。水深が1mなら水圧も決まった値になる、という物理関係を使った直接的な方式です。
メリット
- 連続出力なので任意のポイントで閾値設定が可能
- ケーブルを垂らすだけで設置できる
- 浮遊物・泡の影響を受けにくい
デメリット
- センサーが水中に常時さらされるため、ケーブル劣化・センサー詰まりのリスク
- 大気圧の影響を受けるため、補正が必要
- 沈殿物がセンサー周りに堆積すると誤差が出る
- 水質によってはセンサー寿命が短くなる
井戸水や河川の水位観測ではよく使われる方式ですが、受水槽の長期運用にはやや手がかかる側面があります。
ガイドパルス式
仕組み
ロッドやワイヤー(プローブ)を水中に垂らし、その上をマイクロ波パルスを伝わせて、水面で反射する時間から水位を計測します。レーダー式の「電波が空間を飛ぶ」のに対し、ガイドパルス式は「電波がプローブに沿って伝わる」イメージです。
メリット
- 高精度(ミリ単位)
- 液体の種類・誘電率の変化に強い
- 蒸気・泡・粉塵の影響を受けにくい
- 連続出力で任意の閾値設定が可能
デメリット
- プローブが水中に入るため、付着物による誤検出リスク
- プローブ近傍に不感領域がある
- 価格はレーダー式とほぼ同等で安くはない
過酷な現場(薬液タンク・粉体サイロなど)に強い方式ですが、受水槽用途ではわざわざプローブを入れるメリットが薄いケースが多いです。
超音波式
仕組み
センサーから超音波パルスを発射し、水面で反射して戻ってくる時間で水位を計測します。非接触式の代表格で、電波式(レーダー)より歴史があります。
メリット
- 非接触なので付着物・腐食の心配なし
- レーダー式より価格が安い
- 連続出力で任意の閾値設定が可能
デメリット
- 温度・湿度・蒸気・粉塵の影響を受ける
- 水面の波立ち・気泡で反射が乱れる
- センサー近傍に不感領域がある
- 風(屋外設置)でも誤差が出ることがある
屋内の受水槽なら使えますが、湯気のこもる空間や屋外開放の貯水槽だと精度が安定しないケースがあります。
レーダー式(電波式・ミリ波)
仕組み
センサーからマイクロ波(電波)パルスを発射し、水面で反射して戻ってくる時間で水位を計測します。原理は超音波式と似ていますが、媒体が空気の振動(音波)ではなく電磁波である点が決定的に違います。
近年は60GHz帯のミリ波レーダーを採用した製品が主流で、検出範囲の広がりが小さく、構造物の影響を受けにくいのが特徴です。
メリット
- 非接触で付着物・腐食の心配なし
- 温度・湿度・蒸気・粉塵の影響をほぼ受けない
- 風や水面の波立ちにも強い
- 連続出力+任意の閾値設定が自由(接点を実質「無限に」取れる)
- 屋外設置にも対応
デメリット
- 価格は他方式より高め
- 比誘電率の低い液体は反射が弱く苦手(水は問題なし)
- センサー設定にやや知識が要る
水槽材質×水位計の選び方
ここが現場で意外と見落とされがちなポイントです。水槽の材質によって、設置のしやすさ・必要な工事が変わります。
FRP水槽の場合
FRP水槽は既存のマンホール(点検口)を活かしてセンサーを上から照射できるので、新規開口工事が不要なケースが多いです。これは大きなコストメリットです。
また、電波(マイクロ波・ミリ波)は樹脂を透過する性質を持つため、メーカーや製品グレードによっては樹脂タンクの外側からの計測に対応しているケースもあります。具体的な可否はメーカーや製品仕様によるので、採用前に必ずメーカーに直接確認することをおすすめします。
SUS(ステンレス)水槽の場合
SUSは金属なので電波が透過しません。レーダーや超音波で計測する場合、新規にフランジ等の開口を設ける必要があります。既設水槽の改造工事になるので、それなりにコスト・工期がかかります。
RC(鉄筋コンクリート)水槽の場合
RC水槽もコンクリート躯体内部の鉄筋・密閉構造のため、SUS同様に新規開口が必要になります。地下式の場合はマンホール経由でアクセスすることになります。
主要5方式の比較表
中規模の受水槽(専用水道・ビル・工場の受水槽)を想定して、5方式を横並びで整理しました。

結局どれを選ぶか|現場のおすすめはレーダー式
主要5方式を整理してきましたが、現場目線で総合的にいちばんおすすめできるのはレーダー式です。理由は次のとおりです。
①接点を「実質無限に」取れる
連続出力なので、任意の高さに何点でも閾値を設定できます。電極棒のように「棒の本数で決まる」制約がなく、運用の途中で「ポンプ起動水位を5cm下げたい」「中間アラームを追加したい」といった要望にもソフト設定だけで対応できます。
②非接触でメンテナンスフリー
水に触れないので付着物・腐食・電食の問題がありません。電極棒の定期交換に比べると長期的なメンテナンスコストが大きく下がります。
③環境影響に強い
蒸気・湯気・水滴・温度変化の影響を受けにくく、屋外設置にも対応できます。
④FRP水槽なら設置工事が最小
既存のマンホールを活用すれば、新規開口工事なしで設置できます。SUS・RC水槽はフランジ開口が必要になるケースが多いですが、既設改造が前提でも長期的にはレーダー式に乗り換える価値があります。
価格は他方式より高いですが、メンテナンス工数・故障対応・運用変更の柔軟性を含めた長期コストで見ると、十分に元が取れる選択肢です。
まとめ
受水槽の水位計について、押さえておきたいポイントをおさらいします。
- 主要な方式は電極棒・圧力式・ガイドパルス・超音波・レーダーの5つ
- 接点出力(電極棒)と連続出力(その他)で設定の自由度が大きく違う
- 水槽材質(FRP・SUS・RC)で必要な工事が変わる。FRPなら既存マンホール活用が現実的
- 総合的に現場おすすめはレーダー式。非接触・メンテナンスフリー・接点無限・環境影響に強い、の4拍子そろう
- 電波が樹脂を透過する特性を活かした設置方法もあるので、採用前にメーカーに相談を
リプレイスを検討するときは、「現状の電極棒の腐食頻度・誤検出履歴」と「今後10年の運用コスト」を並べて比較すると、レーダー式の優位性が見えやすいです。
参考資料
- 各メーカー(横河電機、キーエンス、エンドレスハウザー、ノーケンほか)の公式仕様書・カタログ
- JFEアドバンテック、マツシマメジャテック等の水位計解説資料

