病院の水道代削減|透析を行う総合病院が井戸水で年間100万円削減した実例

コスト削減

病院の水道代、なんとか削減できないかとお考えではないですか?実は大阪府内のある総合病院では、井戸水の導入で年間約100万円の削減を実現しました。ただ、この病院が井戸を導入した本当の理由は、コストではありません。きっかけは「災害で水道が止まったら、透析ができなくなる」という危機感でした。現場で導入に関わった経験から、実例をもとに解説します。

透析を行う病院にとって「断水」は経営リスクそのもの

病院の水道代削減の話をする前に、まずこの実例の出発点からお話しさせてください。今回ご紹介するのは、大阪府内にある約200床の総合病院。透析治療も行っている病院です。

この病院が井戸の導入を検討し始めたのは、「水道代が高いから」ではありませんでした。「もし災害で水道が止まったら、うちの病院はどうなるのか?」という問いがきっかけです。

透析治療は大量の水で成り立っている

あまり知られていませんが、人工透析は「水の医療」と言っていいほど大量の水を使います。患者さん1人が1回の透析を受けるのに、目安として120リットル前後の水が必要です(血液をきれいにするための透析液を、水道水から精製して作るためです)。

透析患者さんは週3回の治療が欠かせません。治療を止めれば、数日で命に関わります。つまり透析を行う病院にとって、水は電気と同じ「ライフライン」そのもの。止まった瞬間に診療が成り立たなくなるのです。

災害で水道が止まったら?——この病院が井戸を検討したきっかけ

大きな地震や水道管の事故で断水が起きたとき、給水車が最優先で病院に来てくれるとは限りません。実際、過去の災害では断水によって透析患者さんの受け入れ先探しに奔走した病院が数多くあります。

「災害が起きて水道が来なくなったら大変なことになりますよ」——この病院での導入計画は、まさにこの一言から始まりました。水道代の削減は、このあと出てくる「おまけ」だったのです。

井戸水導入で実現したこと|大阪府内・200床総合病院の実例

第一の目的は非常用水源の確保(BCP対策)

この病院ではまず、災害時にも病院機能を維持するための非常用水源として井戸を位置づけました。いわゆるBCP対策(事業継続計画:災害時にも事業を止めないための備え)の一環です。

敷地内に井戸があれば、水道が止まっても地下水から水を確保できます。透析をはじめ、トイレ・空調・洗浄など、病院の水需要を支えるバックアップになります。近年は病院のBCP策定が強く求められていることもあり、「非常用井戸」は医療機関の防災設備として注目されています。

「おまけ」でついてきた年間約100万円のコスト削減

そして、ここからが水道代の話です。せっかく掘った井戸を災害時だけのために眠らせておくのは、もったいない。平常時から井戸水を浄化して日常の用水に使えば、その分だけ水道の使用量が減ります。

この病院の場合、その削減額が年間約100万円でした。病院は24時間365日、大量の水を使う施設です。だからこそ、水源を切り替えたときのインパクトも大きくなります。

順番が大事なポイントです。「水道代を削るために井戸を掘った」のではなく、「災害への備えとして井戸を導入したら、年間100万円の削減がついてきた」。設備投資の稟議も、この順番のほうが通りやすいというのが現場の実感です。防災投資は「やらない理由」を説明しにくいからです。

医療施設に必要な水質・水量はどう確保したか

「井戸水を病院で使って大丈夫なの?」と思われるかもしれません。もっともな疑問です。

地下水はそのままでは飲用に適さないケースが多いため、ろ過設備を通して水道水と同等の水質基準を満たすように浄化します。導入前には水質検査と水量の調査を行い、「この場所の地下水で、この病院の需要をまかなえるか」を確認したうえで設備を設計しました。導入後も定期的な水質検査を行い、医療施設に求められる水質を維持しています。

どんな病院なら井戸水でコスト削減できる?

削減効果が出やすい病院の条件

すべての病院で同じ効果が出るわけではありません。現場の経験から、効果が出やすいのは次のような条件です。

  • 水の使用量が多い:透析・入院病床・厨房・リネンなど、水を多く使う機能があるほど削減額は大きくなります
  • 地下水の水量・水質が確保できる立地:これは掘る前の調査で確認します
  • 水道料金の単価が高い地域:自治体によって水道料金は大きく違います。単価が高い地域ほど切替の効果が出ます

逆に言うと、小規模なクリニックなどでは設備投資に見合わないこともあります。「うちの場合はどうか?」は、水道料金の明細をもとにした概算診断である程度見えてきます。

導入の流れと検討にかかる期間

大まかな流れは、①現状の水使用量とコストの確認 → ②地下水の調査 → ③設備の設計と概算 → ④施工 → ⑤運用開始・水質管理、という順番です。検討開始から運用までは、規模にもよりますが1年前後を見ておくのが現実的です。

「まだ検討段階」という状態でも、①の概算までは費用をかけずに確認できます。まずは自院の水道代がどのくらい下がる可能性があるのか、数字を知るところから始めるのがおすすめです。

概算診断のご依頼・ご相談は法人・施設のお客様へからどうぞ。

まとめ|水道代削減は「災害への備え」とセットで考える

  • 透析を行う病院にとって、断水は診療停止に直結する経営リスク
  • 大阪府内の200床総合病院では、BCP対策として井戸を導入
  • 結果として、年間約100万円の水道代削減が「おまけ」でついてきた
  • 井戸水は、ろ過設備と定期検査で医療施設に必要な水質を確保できる
  • 削減効果は水使用量・立地・水道料金単価で変わるため、まずは概算診断を

病院の水道代削減を考えるなら、「安くする話」と「災害に備える話」をセットで検討するのが結果的に一番の近道です。迷ったら、まず水道料金の明細を手元に、お気軽にご相談ください。

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