水道料金値上げ前に井戸水に切り替えた工場の話

コスト削減

「水道料金が上がる前に何か手を打ちたい」——そう思っている工場や施設の管理担当者の方に、実際の切り替え事例をお伝えします。

先に結論を言うと、水道から井戸への切り替えで、月31万円・年間372万円の削減に成功した工場があります。しかもこれは、値上げ前に動き出したからこそ実現できたコスト差です。


全国の水道料金値上げ動向マップ

2025年時点の情報をもとに、各都道府県の水道料金値上げ状況をまとめました。

全国水道料金値上げマップ

■赤:実施済み(大幅値上げ) ■オレンジ:値上げ予定・決定 ■黄:検討中・計画段階 ■グレー:変動なし・情報なし

値上げ状況一覧

都道府県 主な対象・概要 状況
愛知県 名古屋市ほか県内各市町村で値上げ実施 実施済み
大阪府 大阪市水道・大阪広域水道企業団で値上げ 実施済み
兵庫県 神戸市・阪神水道企業団ほかで値上げ実施 実施済み
大分県 別府市:2025年4月から約14%値上げ 実施済み
宮崎県 宮崎市:2025年4月から平均13.5%値上げ 実施済み
秋田県 秋田市など複数市町村で値上げ方針 予定・決定
埼玉県 埼玉県企業局・さいたま市などで値上げ方針 予定・決定
神奈川県 横浜市・川崎市など県内主要市で値上げ予定 予定・決定
新潟県 新潟市など県内各市町村で値上げ方針 予定・決定
京都府 京都市水道局で値上げ予定 予定・決定
島根県 県内複数の水道事業体で値上げ方針 予定・決定
愛媛県 松山市など県内市町で値上げ方針 予定・決定
北海道 札幌市など各市町村で値上げを検討中 検討中
千葉県 千葉市・県水道局などで検討段階 検討中
静岡県 静岡市・浜松市などで値上げ検討段階 検討中
三重県 県企業庁・各市町で値上げ検討 検討中
奈良県 奈良市など県内市町村で検討中 検討中
和歌山県 和歌山市など県内で値上げ検討中 検討中
佐賀県 2026年10月から下水道料金約9.25%値上げ予定 検討中
長崎県 2029年から約12.27%の値上げを検討中 検討中
鹿児島県 2028〜2031年にかけて値上げを検討中 検討中

※2025年時点の公開情報をもとに作成。各自治体・水道事業体の最新情報をご確認ください。


背景:水道料金の値上がりが止まらない

全国各地で水道料金の値上げが続いています。老朽化した水道管の更新費用、人口減少による収入減、エネルギーコストの上昇——これらが重なり、多くの自治体が値上げを余儀なくされている状況です。

工場や食品加工施設など、水を大量に使う事業者にとっては、水道料金の値上げは経営に直結します。「うちの地域はまだ値上げしていない」という方も、いつ動きがあってもおかしくない状況です。


事例:関西の工場が値上げ前に動き出した

切り替え前の状況

この工場では、製造工程での冷却用水・洗浄用水として水道水を大量使用していました。月々の水道料金は約80万円。毎月の固定費として経営を圧迫していました。

値上げの話が出始めた段階で「今のうちに動こう」と判断し、敷地内での井戸掘削を検討・実施することになりました。

切り替え後のコスト内訳

井戸を掘削し、水質に応じたろ過設備を設置。切り替え後の月間コストは以下のとおりです。

費目 月額(概算)
ポンプ電気代・消耗品 約30万円
ろ過設備メンテナンス費 約20万円
定期水質分析費 約15万円
合計 約65万円/月

切り替え直後の時点では、水道料金(80万円)→ 井戸維持費(65万円)で、月15万円の削減でした。それでも年間180万円の効果があります。

値上げ後にコスト差が一気に拡大

その後、この地域の水道料金が約20%値上がりしました。仮に水道を使い続けていた場合、月80万円 × 1.2 = 96万円になっていたはずです。

井戸を使っている今の維持費は65万円のまま。この差は:

  • 月間削減額:31万円(96万円 − 65万円)
  • 年間削減額:372万円

値上げ前に動き出したことで、値上げのダメージを受けることなく、むしろコスト優位の立場に転換できた形です。


井戸切り替えで気をつけること

水質の確認は必須

地下水は地域によって水質が大きく異なります。鉄・マンガン・硬度・pH・細菌など、用途に合った水質基準を満たしているかを確認し、必要であればろ過設備・殺菌設備を設置します。この事例でもろ過設備を入れており、それが維持費の一部を占めています。

初期投資の回収期間を計算する

井戸掘削には初期費用がかかります。地盤・深度・設備仕様によって変わりますが、数百万〜1,000万円台になることもあります。月々の削減額から回収期間を試算し、経営的に合うかどうかを判断することが重要です。

法令・専用水道の確認

大量使用(1日最大給水量が20m³超など)の場合は、専用水道として都道府県の認可が必要になることがあります。事前に水道担当部局・専門業者に確認しておきましょう。


まとめ

  • 水道料金の値上げは全国的に進んでおり、大量使用の工場・施設ほど影響が大きい
  • 値上げ前に井戸へ切り替えることで、コスト優位を先取りできる
  • この事例では、切り替えにより月31万円・年372万円の削減を実現
  • 水質確認・初期投資の回収計算・法令確認が切り替えの3つのポイント
  • 「値上がりしてから考えよう」では遅い場合もある——早めの動き出しが鍵

「うちの工場でも検討できるか」と思われた方は、まず水質調査・掘削の事前調査から始めると判断しやすくなります。

あわせてどうぞ:井戸水に鉄・マンガンが多い場合の影響と対策についても解説しています。


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