「水道料金が毎月高くて困っている」――製造業の工場担当者から、こんな相談をよく受けます。設備の省エネ化は進んでいても、水道コストは意外と盲点になっているケースが多い。
今回は、水処理の現場で実際に使われている「水道料金を大幅に削減する方法」をご紹介します。キーワードは「工業用水」と「井戸水」です。
工場の水道料金が高くなる理由
一般的な水道料金は、基本料金+使用量に応じた従量料金の構成です。工場では冷却水・洗浄水・プロセス用水など、大量の水を使うため従量部分がかさみます。
さらに見落とされがちなのが下水道料金です。多くの自治体では、水道使用量に連動して下水道料金も課金される仕組みになっています。つまり、大量に水を使う工場は水道+下水道の両方でコストが膨らむ構造になっているのです。
「工業用水」への切り替えという選択肢
工場が立地する地域によっては、工業用水道を利用できる場合があります。工業用水道とは、工場向けに供給される専用の水道インフラで、一般の上水道に比べて単価が大幅に低く設定されています。
上水道と工業用水道のコスト比較(目安)
| 種別 | 単価(目安) | 用途 |
|---|---|---|
| 上水道(一般水道) | 200〜300円/㎥ | 飲料・生活・工業全般 |
| 工業用水道 | 10〜50円/㎥ | 冷却水・洗浄水など非飲料用途 |
単価が10分の1以下になるケースもあります。月に1,000㎥使っている工場なら、年間数百万円のコスト差が生まれる計算です。
工業用水道の注意点
- 水質が上水道より低い(飲料・食品に直接使うには不向き)
- 引き込み工事が必要なため、初期費用がかかる
- 供給区域が限られており、利用できない地域もある
用途を「非飲料用水(冷却・洗浄・トイレなど)」に切り替えるだけでも、年間の水道コストを大幅に圧縮できます。
「井戸水」の活用という選択肢
工業用水道のインフラが整っていない地域でも、地下水(井戸水)を自家取水するという方法があります。
一度設備を設置してしまえば、水道料金そのものをゼロにすることができます(ポンプ電力や維持管理費はかかります)。
井戸水活用のメリット・デメリット
| 内容 | |
|---|---|
| メリット | 水道料金の大幅削減(ランニングコストは電力費・維持管理費のみ) 水量が安定していれば安定供給が可能 |
| デメリット | 掘削・設備導入の初期費用が必要 水質検査・水処理が必要なケースあり 地域によっては取水規制がある |
冷却塔の補給水・トイレ用水・洗浄水など、水質基準が飲料ほど厳しくない用途への活用が特に効果的です。
実際の削減効果イメージ(試算例)
月間水道使用量:500㎥の工場の場合
| 水源 | 月額(概算) | 年額(概算) |
|---|---|---|
| 上水道のみ | 約15万円 | 約180万円 |
| 工業用水道へ切替 | 約1〜2万円 | 約12〜24万円 |
| 井戸水自家取水 | 約1〜3万円(電力・維持費) | 約12〜36万円 |
※上記はあくまで概算です。地域・設備規模・水質処理の有無によって大きく異なります。
まずやるべきことは「現状把握」
コスト削減を検討する前に、まず現状を把握することが重要です。
- 水道料金の内訳確認:上水道・工業用水道・下水道の各費用を整理する
- 用途別の使用量把握:飲料用と非飲料用(冷却・洗浄など)の使用量を分ける
- 工業用水道の供給区域確認:地元の自治体・水道局に問い合わせる
- 地下水の賦存量・水質調査:井戸水活用を検討する場合は事前調査が必要
この4ステップを踏むだけでも、「どこにコスト削減の余地があるか」が見えてきます。
まとめ
- 工場の水道料金は、上水道+下水道の両方が積み上がる構造でコストが大きくなりやすい
- 工業用水道は上水道の10分の1以下の単価で利用できるケースがある
- 井戸水(地下水)自家取水は、水道料金そのものをほぼゼロにできる
- どちらも初期費用・調査が必要だが、年間削減額に対してROIが出やすい
- まずは「現状把握」から始めるのが正解
「うちの工場でも使えるか?」と気になった方は、ぜひご相談ください。現地の状況をヒアリングしたうえで、最適な方法をご提案します。
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