不動産売却の話が持ち上がったとき、「敷地内に古い井戸があって……」という相談、現場でよく受けます。買い手がつかない、解体前に埋め戻しを求められた、など理由はさまざまですが、いざ依頼が来ると思った以上に段取りが必要な工事です。この記事では、実際に私が担当した埋め戻し工事の経験をもとに、手順・材料・費用感を現場目線でお伝えします。
不動産売却がきっかけで始まった埋め戻し工事
「貞子が出てきそうな井戸」との遭遇
ある日、地元の不動産屋さんから連絡がありました。「土地を売りたいお客さんがいるんですが、敷地の隅に古い井戸が残っていて……埋め戻してもらえますか?」という内容でした。
現地を見に行くと、石積みの昔ながらの丸井戸。薄暗くて、底が見えなくて、正直「貞子が出てきそう」という雰囲気でした(笑)。使われなくなって何十年も経つような井戸で、口径は70〜80cm程度、深さはおよそ10m超。こういう井戸を安全に埋め戻すのが今回の仕事です。
井戸の埋め戻しで使う材料と手順
砂利と真砂土(まさど)で埋めていく
井戸の埋め戻しで基本的に使うのは、砂利と真砂土(まさど)の2種類です。真砂土とは花崗岩が風化してできた砂質の土で、水はけがよく締まりやすいため埋め戻しに適しています。
手順としては、まず井戸底の水をある程度抜いてから、砂利→真砂土の順に交互に入れていきます。一気に埋めると空洞が残りやすいため、少しずつ入れて突き固めながら進めるのがポイントです。最終的には地表付近をコンクリートや土で仕上げ、沈下しないよう締め固めて完了です。
最後に入れる「息抜きパイプ」の役割
埋め戻しの終盤、職人さんが細いパイプを井戸の中心に立てました。「これ、何のためですか?」と聞くと、こんな答えが返ってきました。
「井戸の神様が逃げられるように、道をつくってあげるんですよ」
これが「息抜きパイプ」と呼ばれるものです。VU管(塩ビパイプ)を地表から1m程度突き出した状態で設置します。実用的な意味としては、埋め戻した土が発酵したり地下水の圧力が変化したりしたときに、ガスや圧力を逃がす通気口の役割を果たします。
でも、職人さんの言葉には長年の現場仕事への敬意が込められていて、こういうエピソードが好きです。
埋め戻し前のお清め——神主さんを呼ぶこともある
井戸を埋める前に、お清めの儀式を行う現場もあります。私が担当した現場でも、施主さんのご意向で神主さんを呼んで「井戸じまい」の儀式をしてから着工したことがありました。
地域によっては「使わなくなった井戸をそのまま埋めると祟りがある」という言い伝えもあり、特に年配のお施主さんからの要望が多い印象です。費用は神主さんへのお礼(玉串料)として2〜3万円程度が目安ですが、地域や神社によって異なります。
儀式を行うかどうかは施主さんの判断ですが、「やっておいたほうが気持ちよく売れる」とおっしゃる方も多く、心理的な安心感という意味では有効だと思います。
井戸の埋め戻し費用の目安
気になる費用ですが、これは深度と口径によって大きく変わります。あくまで参考ですが、一般的な目安は以下のとおりです。
| 深さ | 口径目安 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 〜5m程度 | 50〜80cm | 10〜20万円前後 |
| 5〜15m程度 | 50〜100cm | 20〜40万円前後 |
| 15m超 | 80〜150cm以上 | 40万円〜(要見積) |
上記はあくまで材料・施工費の目安です。お清め費用・産廃処分費・コンクリート打設などが加わると変わってきます。また、重機が入りにくい場所では割増になることも。まずは現地確認と見積もりが必須です。
まとめ
- 埋め戻しの基本材料は砂利と真砂土。少しずつ締め固めながら埋める
- 息抜きパイプは通気と「神様の逃げ道」。地表から1m程度突き出して設置する
- お清め(井戸じまい)は必須ではないが、希望する施主さんは多い。神主費用は2〜3万円程度
- 費用は深さ・口径・現場条件で大きく変わる。10万円〜40万円超まで幅あり
- 不動産売却前の埋め戻しは段取りが重要。早めの相談・見積もりをおすすめします


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