井戸工事の基礎知識:種類・ポンプ・工事工程と業者選びの注意点

個人向け

井戸について調べはじめると「浅井戸・深井戸」「ジェットポンプ・水中ポンプ」「ケーシング・揚水管」など、聞き慣れない言葉がたくさん出てきます。この記事では、井戸の種類からポンプの選び方、工事の3工程、そして業者選びで知っておくべき注意点まで、現場目線でわかりやすく解説します。

井戸の種類とポンプの関係

井戸は大きく「浅井戸」と「深井戸」に分けられます。行政上は深さ30m未満を浅井戸、30m以上を深井戸と区分するのが一般的ですが、現場では10m前後までを浅井戸と呼ぶことが多いです。この深さの違いによって、使用するポンプの種類も変わってきます。

家庭用井戸はジェットポンプが多い

家庭用の浅井戸ではジェットポンプが広く使われています。地上に設置するタイプで、ジェット(噴射)の原理を使って水を吸い上げる仕組みです。設置や管理がしやすく、家庭用として扱いやすいのが特徴です。

法人用の浅い井戸は陸上ポンプ

工場や施設など法人用途の浅い井戸では陸上ポンプが多く使われます。地上に設置するポンプで、吸い上げる力が強く、ある程度の水量を安定して確保できます。

法人用の深い井戸は水中ポンプ

深井戸になると水中ポンプが一般的です。ポンプ本体を水中に沈めて設置するため、深い位置の地下水も効率よく汲み上げられます。深さがあるほど地上からの吸引力では限界があるため、水中ポンプが必要になります。

用途深さ使用ポンプ
家庭用浅井戸(〜10m程度)ジェットポンプ
法人用・浅い浅井戸(〜30m程度)陸上ポンプ
法人用・深い深井戸(30m以上)水中ポンプ

井戸工事は3つに分けられる

井戸を一本完成させるまでには、大きく3つの工事があります。それぞれの役割を理解しておくと、業者との打ち合わせもスムーズになります。

① 掘削工事

地面に穴を掘る工事です。ロータリー工法・エアハンマー工法などの掘削機械を使って地下水がある帯水層まで掘り進めます。地下の状況は掘ってみないとわからない部分も多く、予想より深く掘らなければならないケースもあります。

② ケーシング工事

掘削した穴の中にパイプ(ケーシング管)を挿入する工事です。わかりやすく例えるなら「ストローを地面に差し込むイメージ」です。掘った穴がそのままでは土砂が崩れて塞がってしまうため、穴の形を保ちながら地下水だけを取り込めるようにケーシング管を入れます。

ケーシング管の下部には細かい穴(スクリーン・ストレーナー)が開いており、地下水はその穴を通して管の中に入ってきます。土砂は通さず水だけを取り込む、いわばフィルターの役割も担っています。

以下は実際の工事で使用する柱状図のサンプルです。ケーシング管の挿入位置や揚水管の設置状況が記載されており、井戸の構造を視覚的に確認できます。

実際の井戸柱状図(ケーシング・揚水管の記載あり)
▲ 実際の柱状図。地質・ケーシング管・揚水管の位置が記載されている

③ ポンプ設置工事

地下水を地上まで汲み上げるためのポンプと配管を設置する工事です。深井戸の場合、ポンプ本体を井戸の中に下ろして設置します。ポンプから地上まで水を運ぶための揚水管を繋ぎ、地上の配管・電気設備と接続して完成です。

揚水管とはポンプで汲み上げた水を地上まで導くパイプのことで、井戸の深さに合わせた長さのものを使います。水中ポンプ+揚水管がセットになって初めて地下水を利用できるようになります。

実際の工事の流れ

井戸工事は上記の3工程を順番に進めていきますが、重要なのが工程の間に行う揚水試験です。

工事の順番

  1. 掘削工事
  2. ケーシング挿入
  3. 揚水試験(どれくらい水が取れるか確認)
  4. ポンプ選定
  5. ポンプ設置工事
  6. 完成

揚水試験が重要な理由

掘削とケーシングが終わった段階で、どれくらいの量の地下水が取れるかを実際に測定する「揚水試験」を行います。地下水の量は掘ってみるまでわかりません。同じ地域でも場所によって水量が大きく異なることがあります。揚水試験の結果を見て、その井戸に見合ったポンプを選定するのが正しい手順です。

要注意!最初からポンプ費用を入れている業者

ここで一つ、業者選びで気をつけてほしい重要なポイントがあります。最初の見積もり段階からポンプ費用を固定金額で入れている業者には注意が必要です。

前述の通り、ポンプの選定は揚水試験の結果を見てから行うのが正しい順序です。揚水試験をする前の段階では、どんなポンプが必要かまだわからないはずです。それにもかかわらず最初からポンプ費用を確定させている場合、以下の可能性が考えられます。

  • 揚水試験をきちんと行わない
  • 水量に関係なく利益率の高いポンプを押し込んでくる
  • 後から「追加費用が必要」と言ってくる

信頼できる業者は「揚水試験の結果を見てからポンプを選定します」と説明してくれます。見積もりの段階でポンプ費用が固定されている場合は、必ず理由を確認してください。

まとめ

  • 浅井戸は10〜30m程度、深井戸は30m以上が目安
  • 家庭用はジェットポンプ、法人浅井戸は陸上ポンプ、法人深井戸は水中ポンプが一般的
  • 井戸工事は掘削・ケーシング・ポンプ設置の3工程
  • ケーシングは「地面に差し込むストロー」のようなもので、土砂の崩落防止と地下水の取り込みを担う
  • 揚水管はポンプから地上まで水を運ぶパイプ
  • 工事の正しい順序は「掘削→ケーシング→揚水試験→ポンプ選定→設置」
  • 最初からポンプ費用を固定している業者には要注意

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