増産すればするほど、水道料金も増えていく。そのコスト構造に悩む食品工場は少なくありません。この記事では、実際に工業用水の引き込みによって年間300万円の削減に成功した九州の食品工場の事例をご紹介します。
水道料金が上がり続ける工場のリアル
全国展開する大豆製品メーカーの九州工場から最初に相談を受けたのは、「増産に伴って水道料金がどんどん上がっている。なんとかできないか」という一言でした。
食品製造において水は欠かせない原料です。豆腐・豆乳・納豆といった大豆製品はとくに製造工程での用水量が多く、生産量が増えれば増えるほど水コストが直線的に伸びていきます。上水道をそのまま使い続ける限り、この構造は変わりません。
井戸掘削を断念した経緯
実はその工場、過去に一度、地下水(井戸)の活用を試みていました。自前の水源を持てれば水道料金を大幅に抑えられる——そう考えて掘削を進めたものの、水質が基準に合わず、途中で断念されていました。
地下水は地域によって水質のばらつきが大きく、鉄・マンガン・硬度・濁りなど、食品製造に向かない成分が含まれるケースは珍しくありません。処理費用と効果を考えると、掘削してみたものの「使えない」という結論になることもあります。
工業用水を1キロ引き込む提案
井戸の断念を聞いてから、私が提案したのが「工業用水の引き込み」でした。
工場から約1キロの距離に工業用水道の管が通っていました。工業用水は上水道と比べて料金が大幅に安く、大量に安定して使えるのが特長です。製造用途に転用するためのポイントは、水質を食品製造に適した水準まで整えること。
この工場では工業用水を引き込むと同時に、水道法52項目の水質基準値以内に収まる処理設備を併設しました。これにより、上水道と同等以上の水質を確保しながら、コストを大幅に下げることが可能になりました。
提案から導入決定まで約1年。本社(東京)と九州工場を何度も行き来しながら、工場担当者・本社管理部門・関係機関との調整を重ねて実現した案件です。
導入から6年、稼働し続ける設備が証明するもの
あれから6年が経ちました。
設備は今も安定して稼働しており、年間約300万円のコスト削減という具体的な成果を出し続けています。導入コストの回収はとうに終わり、今は純粋にメリットを享受できる段階です。
食品工場において設備の信頼性は絶対条件です。製造ラインを止めるわけにはいきません。6年間トラブルなく動き続けているという事実が、この仕組みの実用性を何より証明していると思っています。
まとめ
- 増産による水道料金の増加は、水源を変えることで根本から解決できる
- 地下水(井戸)が使えない場合でも、工業用水という選択肢がある
- 工業用水+水質処理設備のセット導入で、食品製造に必要な水質基準をクリアできる
- この事例では年間300万円の削減を6年間継続して実現している
- 導入には行政・関係機関との調整が必要で、専門家への相談が近道
水道料金の高騰にお悩みの工場担当者・施設管理者の方は、まず一度ご相談ください。水源の選択肢は、思っているより広いことがあります。

